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緑内障への効果が期待できる漢方成分

漢方が緑内障治療に期待される理由

漢方

ここでは、緑内障への効果が期待できる漢方についてまとめています。

漢方には、「全身を総合的に改善してバランスを整えることで不調を解消する」という基本的な考え方があります。つまり、緑内障などの疾患から身を守るには、まず体を構成する「気」「血」「水」という3つの要素のバランスを正常な状態に改善することが大切だという考えです。

「気」とは、体を動かすエネルギーのこと。主に食事などをして、体のあらゆる機能を動かすために必要な要素となります。このエネルギーが原動力となり、「血(血液)」「水(リンパ液などの体液)」によって、栄養が体中に行き届くよう循環させているわけです。

3つの要素が整いバランスよく循環すれば、新陳代謝や防御力なども保て、自然治癒力が高まります。そうなれば、緑内障など目の病気に対しても抵抗できる体がつくられます。

こうした考えのもと、数百年にもわたる経験の積み重ねで体に良いとされるさまざまなものを組み合わせて処方するのが、本来の「漢方」なのです。

正常眼圧緑内障と漢方

緑内障は眼圧が高いだけでなく、眼圧が正常でも緑内障と診断されるケースがあります。いわゆる「正常眼圧緑内障」、日本人に最も多いタイプです。

正常眼圧緑内障の患者に共通する特徴として、末端血管の循環が悪いという点が挙げられます。冷え性、低体温、低血圧な方で、頭痛や肩コリがひどいといった症状が正常眼圧緑内障の患者には多いようです。

漢方の観点から考えると、「気」「血」「水」のバランスが崩れて体のめぐりが悪くなっているということ。それが房水の流れを滞らせたり、視神経に障害を与えたりする一因になっているとも考えられるのです。

また、中医学では目は肝臓や腎臓の影響を受けやすいと考えられています。肝臓は血液をつくる場所であり、また腎臓は水を調整する場所です。ここの機能が衰えると体のいたるところに支障をきたし、特に目が影響を受けるとされます。

漢方の力を借りることで、目や体の基本となる部分を改善し、房水の代謝をよくしたり視神経など目の機能に必要な栄養を与えたりして、緑内障の治療につながると考えられます。

緑内障治療に注目を集める漢方「アワビ(石決明)」

緑内障に効果が期待される漢方はいくつかあります。

なかでも、最近注目を集めているのがアワビを乾燥させて粉末状にした「石決明(セッケツメイ)」という漢方です。

健康関連の雑誌などにも、「アワビの粉末を飲み続けたら緑内障の進行が抑えられた」「視界がよくなったような気がする」といった声を、よく見かけます。

石決明は「肝機能を整える作用があって目を良くする生薬」

中国の漢方薬書にも記載されており、緑内障や白内障といった目の疾患をはじめ、眼精疲労、視力低下、かすみ目、充血などの症状を緩和する薬として古くから用いられています。

こうした効果が期待されているのは、アワビに含まれる成分が大いに関係しています。

例えば、「タウリン」には弱っている肝機能を正常に戻す作用があること、「亜鉛」は代謝を促す酵素の生成にかかわっていること、さらにタンパク質の一種である「コンキオリン」は視神経や網膜など目を構成するコラーゲンの生成を促進させること…など、緑内障治療に期待できる栄養成分が多く含まれています。

石決明は漢方薬局などで入手できますが、これを配合したサプリメントも市販されており手軽に入手できますから、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

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緑内障治療に注目を集める漢方「アワビ(石決明)」

緑内障に効果があるとされる漢方はいくつかありますが、その中でも特に注目を集めているのが、「石決明(セッケツメイ)」という漢方です。石決明は、アワビの殻から作られる生薬で、古くから目に良い漢方として利用されていました。

こちらは、馬の眼病に関する昔の資料にある記載ですが、この書物が記されたのは1754年のこと。今から270年ほど前から石決明は「何の眼病をも治す」と言われるくらいの効能が認められていたことがわかります。

"石決明(九孔螺・にな貝)「味辛平なり, 内障外障翳をさり, ただれ目,何の眼病をも治す」(同)。"

出典:日本獣医史学会『(PDF)馬眼医療と「性観之書」』

現代となっては、さすがにどの様な眼病でも治す、とまではいかないでしょうが、石決明に含まれている成分について知ると、緑内障を初めとする眼病に効果的だということが見えてくるでしょう。

コリンの縮瞳作用によって房水を排出

石決明の中には、「コリン」という成分が含まれています。このコリンには様々な作用があり、副交感神経の働きを活発にするだけでなく、縮瞳作用もあるとされています

"Arecolineには副交感神経系の機能を高進し,腺分泌増進作用があって,唾液,消化液の分泌を増進する。また縮瞳作用がある。 "

出典:京都大学学術情報リポジトリ紅『(PDF)タイ国生薬の考察II』

このように、「分泌する」という作用に長けているのがコリンの特徴で、これは緑内障における「房水の流れを良くする」ということにも繋がる可能性があります。

また、縮瞳作用があることによって、房水が排出しやすくなるという作用も期待できるでしょう。縮瞳作用が起きると、瞳の大きさが小さくなるので、その分、房水を排出する機能を持っている隅角が大きくなるためです。

緑内障の予防・改善には、房水を正常に排出させて、眼圧を下げることが最も有効な方法。石決明で期待できる「縮瞳→隅角の拡張→房水の排出」という作用機序を持った目薬もあり、緑内障の改善に利用されているほどです[注1]。

石決明で緑内障を改善できるというのは、この働きによるところが大きいと考えられます。

コンキオリンによってヒアルロン酸を生成

ヒアルロン酸は体内の水分を保持してくれる成分で、年齢とともに減少することが知られています。ですが、石決明の中に含まれる「コンキリオン」は、体内でヒアルロン酸の生成をサポートしてくれる成分です[注2]。

ヒアルロン酸は目薬の主成分にもなっています。その効果については、ウサギを使った実験でも明らかになっていて、角膜に傷をつけたウサギにヒアルロン酸配合目薬を使ったところ、整理食塩液を使ったウサギよりも約14%治癒率が上昇したそうです[注3]。

また、ドライアイなどによって角膜が傷つくことを予防する効果もあり、目の老化を予防し、健康な目を維持するためには欠かせない成分でしょう。

マグネシウムや鉄などの体に必要な成分も

漢方というものは西洋医学の理論では説明が難しい部分もありますが、その他の目に関する症状では、目の充血、視力減退、緑色色盲、視力障害に対して石決明が用いられています[注4]。

めまいや止血薬としても利用されており、それは、マグネシウムや鉄など、人間の体にとって必要不可欠である成分が含まれていることにも由来しているのでしょう。

まだある!緑内障治療に期待できる漢方

アワビ以外にも、緑内障の方に効果が期待できる漢方はいくつかあります。ここで、代表的な漢方を紹介しましょう。

真珠

「目を明らかにする薬」として、古くから目の疾患に用いられてきた真珠。目に良い有機物やミネラルなどがたくさん配合されています。真珠の成分は90%が無機成分で、そのほとんどが炭酸カルシウムです。[注5]

この炭酸カルシウムは人間の骨や歯をつくり、体液調整に関係することから緑内障の一因とされる房水に対しても効果が期待できます。また真珠の貝殻形成に関係する膜にコラーゲン、そして真珠層にコンキオリンというタンパク質が含まれており、[注6]

これらが目に関する組織にとって重要な働きをもつとされています。

菊花

明目作用があるとされることから古来より目薬としても利用されている菊花。中国では菊花を使ったお茶が長寿のお茶として知られています。[注7]

葉酸が不足すると目の疾患が発生するリスクが高まると言われていますが、菊花は葉酸が豊富に含まれており、眼病や目のトラブルから生じた頭痛、めまいなどの症状改善にも有効とされています。

視神経を正常にはたらかせるビタミンB群やビタミンC、ミネラル、フラボノイドなどの栄養成分も豊富です。フラボノイド類には、老廃物を排除する作用があります。眼精疲労への効果も期待できるでしょう。

枸杞子(クコシ)

枸杞子とは杏仁豆腐に添えられたりしているクコの実をさし、ドライフルーツも使われています。中国では古来から不老長寿の薬として生薬に使われてきました。

「ゴジベリー」として健康食品でも人気。副交感神経に刺激を与える成分が血流を改善し、視神経の強化や眼圧の低下などが期待されます。枸杞子には鉄、カルシウム、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれています。

こうした成分が神経を正常に働かせてくれるため、血管などを強くする効果が期待できます。また他にもカロテノイド、ルテイン、フラボノイドなどの有効成分も。目の健康維持をサポートしてくれる漢方と言えるでしょう。

エビスグサ

種子の「決明子(ケツメイシ)」が漢方。緑内障や白内障、夜盲症、結膜炎など、古くから目の疾患に用いられてきた生薬です。決明子の効能は、肝臓にはたらきかける成分(アントラキノン誘導体など)にあります。

東洋医学では肝臓と目には深い関係があるとされているため、肝臓が整うことで結果として目の疾患にも効果が期待ができると考えられているのです。

また目にとって重要な働きをするビタミンAやルブロフサリン配糖体なども含まれています。ビタミンAには目の疲れや充血を和らげる効果が期待でき、ルブロフサリン配糖体には目の組織内にある抗酸化物質「グルタチオン」を合成する効果があります。

ツルレンゲ

ツルレンゲは沙苑子(シャエンシ)と呼ばれる種子が漢方。滋養強壮の目的や老化の予防などを目的として古来から生薬として使われています。

ツルレンゲのエキスが血管内皮細胞にはたらきかけ血流をよくするほか、肝臓や腎臓の機能を助ける効果も期待されています。近年では西洋医学での研究でもその効能が解明されています。

目の毛細血管までしっかりと血液を届ける働きをもつTie2(タイツー)という酵素がありますが、ツルレンゲから抽出できるツルレンゲエキスにはTie2(タイツー)の働きを強める効果があると言われているのです。

Tie2(タイツー)の活性化により、緑内障を始めとした目の疾患発症のリスクを下げることができるとされています。[注8]

山茱萸(サンシュユ)

山茱の実は真っ赤で形状としてはグミに似ており、漢方で使われるのは実ではなく種の部分です。種を弱火で熱して日光にあてながら干したものが生薬として使われています。

日本では滋養強壮や強制作用などから薬用酒などにも使われており、肝臓や腎臓にはたらきかける作用がある成分が豊富です。血管の拡張や血流の改善、眼圧の低下などの効果も期待されています。

山茱の成分としてはイリドイド配糖体、タンニン類、山茱萸エキスなどがあります。イリドイド配糖体やタンニン類は血圧改善や血管の調整に役立つとされており、眼圧低下の予防が期待できます。山茱萸エキスには肝機能の不調を改善する働きが知られています。

女貞子(ジョテイシ)

中医学書に「肝機能を高め目の病を改善する」生薬として紹介されています。神経系にはたらきかけ、視神経を強める効果もあるそうです。女貞子は身近なところでも苗木として使われており公園などでも見かけることができます。

腎臓と視神経に密接な関係があるとされる緑内障ですが、女貞子は肝臓、腎臓、そして神経系の働きをよくするとされており、漢方以外でも薬用酒にも用いられています。

含まれる成分としてはオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトールなどがあります。このうちオレアノール酸に視神経への働きをよくする効果があるため、緑内障の進行予防を期待できます。

紫イペ

ブラジル・アマゾン川流域に自生する樹木で、この樹皮に緑内障治療に有用な成分が豊富といわれます。血流改善、肝機能の改善などの作用も認められており、健康食品として用いられている生薬でもあります。

イペと呼ばれる樹木は数種類ありますが、漢方でもちいられるのはその中でも赤紫色の花を咲かせる種類。ビタミンB12をはじめとしたビタミンB郡や亜鉛、カリウムなどのミネラルがたくさん含まれているのが紫イペです。

ビタミンB12欠乏症では視力低下の症例があり、視力低下は緑内障のリスクが高まるため、ビタミンB12が含まれていることで緑内障のリスクを下げるということになります。[注9]

また紫イペには体内の水圧を保つ作用があるとされていることから、房水の調節を正常にし眼圧の増加を押さえる効果もあると考えられています。

マリーゴールド

ヨーロッパでは万能薬として知られるマリーゴールド。マリーゴールドは鑑賞の花ではありますが、古来から血を止める作用が認められており、海外では創傷に対する薬としても使用されています。

その効果の期待は傷だけでなく、万能薬とされ目に良いハーブともいわれています。特にルテインという成分が、眼精疲労、視力低下などに効果があるそうです。

また、ルテインには血流促進の働きもあります。血流が良くなると視神経などにも栄養が行き届くようになるほか、眼圧を正常に保つ効果も期待できます。緑内障や白内障、加齢黄斑変性症の発症リスクを下げる効果も期待できるでしょう。

[注1]藤元メディカルシステム:緑内障のお薬について

[注2]研究成果最適展開支援プログラム:事後評価:【FS】探索タイプ 平成25年2月公開

[注3]ファイザー株式会社:日本薬局方 精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液[pdf]

[注4]富山大学和漢医薬学総合研究所 伝統医薬データベース:日本薬局方 精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液[pdf]

[注5]長崎県HPより:アコヤ貝真珠層タンパク質の機能に関する解析[pdf]

[注6]御木本製薬株式会社:真珠研究の最前線ー真珠養殖技術の確認を目指してー[pdf]

[注7]和歌山市・山本眼科:伝統医学臨床セミナー[pdf]

[注8]丸善製薬株式会社:単独の素材としても有効なツルレンゲ

[注9]臨床神経生理学45巻6号:ビタミンB12 欠乏性神経障害[pdf]