HOME » 緑内障への効果が期待できる漢方成分 » 山茱萸(サンシュユ)

山茱萸(サンシュユ)

肝腎にはたらきかける滋養強壮の生薬「山茱萸」

山茱萸(サンシュユ)は中国原産の落葉小高木で、日本でも庭木として人気のある身近な木です。

この木は、秋になるとまっ赤なグミ状の果実を実らせます。この実から種を取り弱火で熱して日干ししたものが、漢方で使われる山茱萸です。

日本では、この山茱萸をお酒につけ込んだ「山茱萸酒」が滋養強壮、強精作用のある薬酒として有名でしょう。

また、疲労や倦怠感などが著しいときに服用される「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」という薬にも、山茱萸が使用されています。

このほか、糖尿病や免疫力の落ちている患者にも、山茱萸のエキスが有用だといわれています。

山茱萸の効能

漢方では、頻尿や夜尿の改善や慢性的な下痢止め、汗や出血を止める効能、視力低下などの効能があるとされています。

これらの効能が期待できるのは、肝臓や腎臓にはたらきかける作用が山茱萸にあるからです。

中医学では、山茱萸は「腎を補い、肝を温め、精を固め、気を秘す(「薬性提要」より)」ものだとされています。

腎臓や肝臓の機能を高めることで、房水などの体内にある水液を正常に保てるようになります。また、血圧降下の作用もあるとされ、緑内障などの目の疾患に対しても効果が期待できます。

このほかにも目の疾患では、かすみ目や視力の低下の改善、また、めまいや耳なり、難聴などの改善にも効果があるとされています。

山茱萸の有効成分

山茱萸の有効成分として、リンゴ酸やイリドイド配糖体、タンニン、没食子酸などが含まれます。

植物の特徴について

有効成分から見た山茱萸の特徴は、生薬となった際に有効成分である「ロガニン」を0.4%以上含んでいるものが良質であるとされます。

主な有効成分の詳細は、成分の種類別に次のようになっています。

  • イリドイド配糖体:ロガニン、モロニシド
  • セコイリドイド配糖体:スウェロシド
  • トリテルペン:ウルソール酸、オレアノール酸
  • タンニン:トラパイン、テリマグランジンI、イソテルケビン、コルヌシインA、コルヌシインB等
  • 有機酸:酒石酸、リンゴ酸、没食子酸等

実は楕円形で長さが1.5~2センチ、濃い赤紫色や紫色で艶があり、シワが現れることが特徴です。

酸味の中に僅かな甘みがありますが、酸味を感じないものは質が良くないと判断されます。

有効成分による効能について

山茱萸の主な薬効は、滋養強壮、寝汗や頻尿の改善がメインとなりますが、精力増強や脚気の改善のために用いられることもあります。

ただし、単品で使用されることはほとんどなく、生薬として「牛車腎気丸」や「八味地黄丸」、「六味地黄丸」などの漢方薬に使用されます。

目に対する効能としては、牛車腎気丸でかすみ目に効果的とされ、八味地黄丸では白内障への効果や視力の回復を期待して処方されます。

その他、下肢の痛み、腰痛、しびれ、かゆみ、むくみの改善、食欲の正常化、腎性高血圧、前立腺肥大、萎縮腎などの改善効果も期待できると言われているため、腎臓の機能を強化する働きがあると考えられるでしょう。

イリドイド配糖体

イリドイド配糖体には、モロニサイド、スウェロシド、ウルソール酸などがあります。これらの成分が心臓や血管にはたらきかけ、血管の拡張や血流の改善などによって眼圧の低下も期待されます。

イリドイド配糖体は、成分として非常に安定した存在で、時間経過によって自然に分解されてしまうことがありません。

そのため、イリドイド配糖体の効能を期待した摂取は容易ですが、体内の消化酵素によって活性するという特徴があるため、体内の消化酵素が働かなければ効能を発揮しません。

もともと、植物自身が他の動物に食べられないように含有している苦味成分なので、植物中に広く含まれていますが、オリーブ、ブルーベリー、クランベリーなどの中に多く含まれるとされます。

タンニン類

タンニンには抗酸化作用があるため、活性酸素の除去や血管を強める効果があるとされます。また、脂質過酸化抑制や脂肪分解の阻害作用、抗ウイルス作用などがあることも報告されています。

タンニンはポリフェノールの一種であり、多くの植物の樹皮部分に含まれている、収れん作用を持つ成分です。

含有している植物によって様々な分子構造を持つため、その効能や機能性に関しては一概に言えず、まだ解明されていない部分も多いとされます。

また,タンニンの有する有用機能はタンニンの化学構造と密接に関係していることから,化学変換,酵素変換を行うことでその機能を増強させる改質が行われている。

出典: JSTAGE『(PDF)樹皮タンニンの化学特性と化学・酵素変換』

このように、他の成分との反応によって様々な形に変換させて、それぞれの効能を引き出そうとする試みも行われています。

山茱萸エキス

山茱萸エキスには、肝機能障害の改善作用があるほか、血糖値を下げる作用や免疫活性作用などもあります。

また、山茱萸エキスには「温補作用」があるとされており、バランスが崩れて冷えた体を温め、体力が弱った状態を補う働きがあると言われます。

熟地黄,山茱萸は,熟地黄が肝腎を補養し精血を増し,山茱萸が肝腎を温補して縮尿渋精する。合わせて腎陰を補養し精気を固渋し,肝腎の機能不足に対応する事が出来る。これにより,肝腎の不足から来る諸症状を改善する事が出来ると考えられ,肝腎不足による恐怖症状に対して一定の効果を示している可能性がある。

出典: JSTAGE『(PDF)六味丸が有効であった神経症の7症例』

このように、山茱萸は肝臓と腎臓の機能を強化する働きがあるとされ、それによって温補作用が得られると言われています。

中医学では、肝機能が低下すると眼機能も低下すると考えられているため、肝腎の機能を活性化させる山茱萸は、緑内障への効果も期待できるでしょう。

薬用植物総合情報データベース